円覚寺(えんがくじ)舎利殿(しゃりでん) 屋根は急勾配(きゅうこうばい)になっていて,それを支える内部の垂木(たるき)放射線(ほうしゃせん)状に組まれています。

 鎌倉にある円覚寺は,1282年に北条(ほうじょう)時宗(ときむね)無学(むがく)祖元(そげん)に開かせた臨済宗(りんざいしゅう)の寺です。そこにのこる舎利殿は,かつては鎌倉時代のものとみられていましたが,現在では室町時代前半のものとされています。しかし,鎌倉時代に宋から伝わった禅宗様(ぜんしゅうよう)唐様(からよう))の代表的な建築物として,貴重(きちょう)な文化財であることに変わりありません。

 禅宗様は,同じく宋から伝わった天竺様(てんじくよう)大仏様(だいぶつよう))が素朴(そぼく)で力強いのとは対称(たいしょう)的に,繊細(せんさい)整然(せいぜん)としたたたずまいに特色があります。花頭窓(かとうまど)とよばれるアーチ型の窓や,桟唐戸(さんからと)とよばれる入り口が落ち着いた雰囲気(ふんいき)をかもしだしています。